【Win/ブラウザ】聖者の証明【灰色工房】

【Win/ブラウザ】聖者の証明【灰色工房】【 聖者の証明 】

かつて自分を救った聖者にあこがれた男性。
あなたは聖者として、少年を導き、救うことができるだろうか?

10分ほどで読み終わる、分岐のないノベルゲームです。

灰色工房作品、やや中級者向けです。
作者様は人間を描くプロの方に違いない。

ノベルゲームコレクションでDLから無料プレイ可能です(ノベルゲームコレクションへ飛びます)
スマホを含むブラウザのほか、WindowsでDLプレイも可能です。

【聖者の証明】
開発/発売:灰色工房様
ジャンル:ノベルゲーム
動作環境:Windows7以降
リリース日:2025年4月17日
価格:フリーゲーム


親にも見捨てられた少年は、年齢も性別もわからない美しい人物に、命を懸けて魔物から助けられる。
その人物は自分の理想。目標とすべき「聖者」である…

彼は過去と決別するためにそれまでの名を捨て「シシュン」と名乗り、いつしか壮年となったころには、周囲の人物から頼られ、一目置かれる存在となっていた。
そのころ、過去の自分とそっくりな少年と出会う。
つらい経験から発語することを忘れてしまっていたその少年に「クワンシ」と名付け、自分の知識を惜しみなく与え、育てるが…

このゲームは?

芥川龍之介の「杜子春」をモチーフとした短編ノベルゲーム。
プレイ時間は10分ほどですが、そのあと私は考察しまくってやべえくらい感情がどっぷりとハマっちまったので、もうちょっとプレイ時間を加味しておくといいです(?
しかし杜子春に興味を持ち調べてみたんですが、なんでこれをモチーフにしてこの作品が出来上がるんですか? すごすぎへん??

人間の理想と弱さの剥離を、痛いくらい明確に描き切っている作品です。
あまりにも残酷なんだけど、でも人間ってこういう感じだよな…
人間味…(にんげんあじ)

【Win/ブラウザ】聖者の証明【灰色工房】

ある人物に助けられた男であるシシュン。
彼は、その助けてくれた人物に、理想の姿をどんどん重ねて肉付けしていき、勝手に「聖者である」と決めつけて、それを目標にするんですよね。
その、どんどんと自分の記憶の中にいる姿が理想に近づいていく様…
まさに人間…

だけどその志は立派なものではあるし、純粋な願いに見えます。
そしてその理想の「聖者」にならんとするシシュンは、まさに自分を律して穢れなき聖者として周りに認められる。

【Win/ブラウザ】聖者の証明【灰色工房】それでも満たされないんだよな…
人間だから。
だけどその勝手に肉付けした「聖者」に勝手にあこがれて、こんな風に思うさまってすごい滑稽でもある。
面白いなって思ったのはこの部分もそう。
シシュンの目標がぶれずにいたっていうのは、並々ならぬ努力じゃないんだけど、それでも絶対に本物にはなれないんじゃないか、って思っていたっていうのがまさに人間。

【Win/ブラウザ】聖者の証明【灰色工房】かつての自分に似た存在・クワンシに対し、師匠のように自分の知識を与えていくシシュン。
クワンシは自分よりよほどできた子である。
彼がしゃべれないというのが、またこの作品のキーなんですよね…
クワンシが言葉を発することができていたならば、こんなにもシシュンが醜い姿にならずに済んだのかもしれない。

正しさを望みながらも、聖者になりきれず、誤った道を選ぶとして。
だけど誰が彼を責められようか?

まとめ

これは決して「良い話」じゃないし、「綺麗な話」でもない。
だけど、読む価値がある話です。
人間の理想と現実、そのはざまで揺れたことがある人には、きっとこの作品、胸をえぐるほど刺さりますよ。
っていうかマジで人間を描くプロ過ぎてちょっともうシビれた。

本当に、人間って「その醜さも人間らしく、だからこそ愛おしい」んだと思う。

芥川の話も併せて読むとより楽しめると思います。
旧仮名遣いのものを読むと、トシシュン(杜子春)を導いたのがテツクワンシ(鉄冠子)という仙人である、というこの作品のモトになる部分が分かるんですが、ある意味このゲームも、シシュンを導いたのってクワンシであると言えるんですよね。
だってそうでしょう、クワンシの前での行動次第では、彼は「聖者としての完成」を達成出来たんですから。
いやしかし繰り返すけど、これをモチーフにしてなんでこのノベルが出来上がるの… すごすぎるってマジでマジで。

リンク

灰色創作室(作者様サイト

ノベルゲームコレクションでDLから無料プレイ可能です(ノベルゲームコレクションへ飛びます)
スマホを含むブラウザのほか、WindowsでDLプレイも可能です。

*画像は灰色様「聖者の証明」より

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