【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】【 蛆の住処 】

Haneotoのぬえもとさん制作のノベルゲーム。
殺人による死体や、悲鳴の描写などがあるため、R-15、なおかつグロテスクなので注意。

殺人鬼をやっているごく普通のOLと、ひょんなことから彼女と一緒に暮らすことになったごく普通の大学生の、優しい一週間を描いたAVG。
選択肢によるEDは3つあり、全部読了まで1時間半ほど。

ティラノゲームフェス2018にて佳作受賞!!
おめでとうございます!!

*今回、私の環境によるのものだろうと思いますが、DLでのプレイが起動しなかったため、ブラウザ版でのプレイになります。そのため、スクリーンショットが原寸で撮れなかったため、不鮮明な画像になってしまっていたら申し訳ないです。

ノベルゲームコレクションでDLから無料プレイ可能です(ノベルゲームコレクションへ飛びます)
スマホを含むブラウザのほか、WindowsでDLプレイも可能です。


大学進学のため、はるばる東京へと引っ越してきた主人公の少女・瞳。
引っ越しの日は、あいにくの雨…激しい雷まで鳴り響く。
東京では兄のマンションへと居候するはずだったが、兄の部屋を訪ねると、美しい女性が顔を出す。

そして、血を流し、倒れ伏し、ぴくりとも動かない兄の姿が雷光に照らし出される。
死体の横で平然とほほ笑む女性は、兄の恋人の美夜子と名乗り、そして、いたって普通の殺人鬼だとも名乗り…

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

目の前で起きているあまりのことを受け入れ切れず、気を失う瞳――
だが殺人鬼と名乗ったはずの美夜子は、瞳を介抱し、自宅へと連れ帰りベッドへと寝かせてくれた。
それどころか、翌朝、起床した瞳の顔色を見て、体調を本気で心配している。

彼女は、住むところを失った瞳を自分の家に置き、共に住むつもりだった。

殺人鬼と大学生、ふたりの、奇妙で、それでいて優しい生活が始まる。


瞳は、兄を殺した殺人鬼である美夜子の言うとおりに、この家で生活する。

美夜子は、うまいこと瞳の両親を丸め込み、瞳を自分の家へと住まわせるだけの理由を作ってしまった。
自分は兄を殺された被害者で、それによって住む場所も奪われたのだし…、自分に言い訳をして瞳は美夜子の家に住まう。

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

平然と、瞳に朝食のトーストを作り、平然と、疑問符ばかりの瞳の言葉に応える。
殺人鬼とは思えないほどに、くるくると表情を変え、まるで普通の少女のような、そんな美夜子。

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

美夜子は、平気な顔で瞳を町に連れ出した。
瞳が逃げ出すなんて思いもしないのか、ここで生活するにあたり、便利なスーパーや最寄りのコンビニ、そしておいしいスイーツのレストランなどを瞳に教えてくる。
自分の帰りが遅い日は、このスーパーで食材の買い出しをお願いするかも、なんて、今後の、瞳との当たり前の生活を頭に描いている、美夜子。彼女は瞳を疑ってもいないらしい。

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

幸せそうな顔でスイーツをほおばる姿は、本当に普通の「女の子」のようだった…
まるで、彼女が殺人なんて犯しているのが嘘のように、美夜子は美しい女性で、ただのひとりの少女だった。
つい昨日、兄を殺したのに、とてもそうは思えない…彼女の美しさに、瞳は惹かれてゆく。

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

大切な家族として、瞳を扱う美夜子。
兄を殺した美夜子との優しい時間に、安らぎを覚える瞳。
そこはまるで、二人きりの聖域のような住処だった――

連絡の取れなくなった兄を心配して電話をかけてくる両親。
どこか他人事のような気分のまま、兄の死を受け入れてゆく瞳。

そして、瞳は、大学からの帰り道に、もう二度と会いたくない存在と再会してしまう。

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

瞳のために、とても自然な流れで殺人を犯す美夜子は、確かに異常なのかもしれない。
いや、世の中では異常とされることが、彼女にとっての正常なのだ。
食事をする、排せつをする、それと同じように、当たり前に殺人を犯せる少女たる美夜子。
異常である彼女を、瞳はどう思うのか。
自分の過去の清算と、美夜子への感情…。それは正しいものなのだろうか。何が正しいのだろうか。
そして、瞳の出す結論と、それに対する美夜子の答えは…

柔らかで優しい一週間のものがたり。


正常、異常。幸福。普通であること。正しいこと、間違っていること。なにが正解でどれが過ちなのか。
そんなものを問うてくる、とても鮮烈な作品でした。

主人公が、兄を殺されたというのに美夜子を責めることもなく、逆に彼女へとなつく姿は、それはまるで家族へ対して冷淡で、感情の薄い少女に見えるのだけど、大学の友人とのやり取りで、そんな少女でないこともわかります。
そして、どうして兄の死をそっと受け入れたのかが語られたとき、すべての疑問符が晴れるようでした。
このあたり、実に構成がうまかったです。

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

優しい時間の後、主人公が生きて行けたのは、大学の優しい友人たちとの時間だったのでしょう。
そういった、瞳は「普通の大学生である」という描写があったこそ、美夜子との時間が優しく、そして異常であると際立ったのだと思います。
また、もしかしたら瞳だって、一歩踏み外しかけたのだから、美夜子と同じ殺人鬼になりかけたのかもしれない。
だけどきっとそのストッパーになったのも、この大学の友人ふたりだったんじゃないかなあ、と想像させるのです。…いえあくまでも想像ですけどね。でもハッピーエンドを迎えた時に、この二人とのやり取りが結構しっかり描かれてたのは、そういうことだったんじゃないかなって、ちょっと考えたのですよ。

【PC/スマホ】蛆の住処【Haneoto】

作中で、美夜子のことを「少女」と瞳が表現するのが何度も出てくるのですが、ごく普通のOLをやっているはずの美夜子は、当然「少女」と呼ばれる年齢ではないのです。
でも、エンディングでも「少女」という言葉が出てきたので…
なんというか、美夜子という女性の無垢さ、そういった内面を表した言葉なんだろうなあ…、なんかすごく印象に残ったのですよね。
瞳が、自分よりいくつも年上であるはずの美夜子のことを「少女」と呼ぶ、その違和感は、だけど瞳が、美夜子の純粋さを見抜いて、その純粋さを当然としていたからこと、出た言葉なんじゃないかなって。

2人とも、主人公も美夜子も、内面は美しい女性だったんですよ。
自分でそうは思ってなかったとしても。
だから優しい時間が過ごせたのだと思います。

こんな言葉は無粋なんですけど、めっちゃ良質な百合ノベルでした…
エンディングは全部見たけれど、どれも優しくて悲しかった…

熱が入って長文の紹介記事になってしまったけれど、本当に素晴らしい作品でした。


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*画像はすべてHaneotoさま「蛆の住処」より

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